クレヨンブラシを自作する方法(Adobe illustrator)
Ai でクレヨンブラシを自作する方法です(*・ω・)/ ※利用バージョンはCS6です
デフォルトで用意されている絵筆ブラシにも、クレヨン風のブラシは用意されているものの、形が曲がっていたり、冒頭と末尾の細さが違っていたりして、形のあるパスに反映させると、せっかくの綺麗なパスラインが曲がってしまったり、変なところで細い線になって擦れてしまったりして、思い通りにクレヨンっぽくできないんですよね。
そこで、絵筆ブラシではなく散布ブラシを使って、密度も均等で、線もまっすぐなクレヨンブラシを作成します!
1.円をつくる
色とサイズを下記に指定し、適当に円を作成します。円は正円でなくてOKです。
サイズ:縦横1ptくらい
※クレヨンのベースになるオブジェクトです。このオブジェクトが、クレヨンのポツポツした1つ1つのオブジェクトになるので、ブラシを適用するパスのサイズによって、大きくしたり小さくしたりしましょう。
色:ブラック(下記CMYK値を適用する)
C 0% M 0% Y 0% K 100%
見た目がブラックでも、上記値から1%でもずれると、特定色指定になってしまい、色の変更ができないブラシになってしまうため注意してください!
2.円をいびつな形にする
上のメニューから 効果>パスの変形>ラフ を選択し下記の値を設定します。
1 2 3 |
サイズ:5% 詳細:5inch ポイント:丸く |
ここでは、クレヨンっぽさを出すために、散布するオブジェクトをいびつな形にしています。ゆがんだ丸っぽい形になるように、数値は適宜調整してください。あまり極端な形にはせず、少しゆがんだ丸っぽいオブジェクトにすると、ナチュラルなクレヨンになります。いびつな形にすればするほど、隙間のあるギザギザな感じのクレヨンになります。
3.歪ませた円をパスに変換
2で作った図形は、パスの変形機能を使って作成した一時的な形のため、変形した形をパスに変換して固定化します。上のメニューから オブジェクト>アピアランスを分割 を選択すると、パスに変換されます。
4.ブラシに変換
3で作成したオブジェクトを、ブラシパレットにドラック&ドロップします。すると、ブラシの種類を聞かれるので「散布ブラシ」を選択します。
5.散布ブラシオプションの設定
4でOKを押すと、散布ブラシの詳細設定画面が開きます。下記の通り値を調整してください。
ナチュラルなクレヨンにする場合
1 2 3 4 5 6 |
サイズ: ランダム 100% 75% 間隔: ランダム 40% 30% 散布: ランダム 3% -3% 回転: ランダム -180° 180° 回転の基準:ページ・パスどちらでもOK 彩色: 淡彩(これを選択すると、ブラシに好きな色を適用できます) |
粗いクレヨンにする場合
1 2 3 4 5 6 |
サイズ: ランダム 1% 30% 間隔: ランダム 1% 2% 散布: ランダム -30% 30% 回転: ランダム -180° 180° 回転の基準:ページ・パスどちらでもOK 彩色: 淡彩(これを選択すると、ブラシに好きな色を適用できます) |
上記数値も、適宜好きなテイストになるように微調整してください。粗いクレヨンでは、元のオブジェクトはいびつな形(角やくぼみがたくさんある形、ブーメラン型や四角三角など)で作成すると、より粗い目を表現することができます。
OKをクリックして、散布ブラシの完成です。
6.散布ブラシを適用
散布ブラシを、パスオブジェクトに適用します。オブジェクトを選択し、5で作成したブラシを選択しましょう。細かい点のオブジェクトが散布配置されるため、配置するパスが大きければ大きいほど重くなって時間がかかるので注意です。適用後、適用したパスをコピーしておきましょう。(理由は後述「注意点」を参照)
曲線パスに適用する場合
散布ブラシは曲線に弱いため、丸みのあるオブジェクトに適用すると、角ばった形に変わってしまうことがあります。そんなときは、 パスの変形ツールを使って、ブラシを適用したオブジェクトに丸みをつけましょう。
効果>パスの変形>ラフ を選択し下記値を入力します。入力値は、曲線の具合によって都度調整してください。
入力値例:サイズ 0%、詳細 10inch
オリジナルクレヨンブラシの注意点
1. 色指定に注意
ブラシ作成時に特定の色を指定してしまうと、後から色指定できないブラシになってしまいます。C 0% M 0% Y 0% K 100% 以外の値で作成しないように注意してください。
2.ファイルの重さに注意
ここで作る散布ブラシを利用すると、描画した場所全体に1つ1つの細かいオブジェクトが何百個〜何千個と作成されてしまうため、ものすごーーーーく重くなります。フリーズしてデータが消えるってことも普通にありえます。
ただし、重くなるのは、ブラシをパスに適用した直後のオブジェクトだけで、そのオブジェクトをコピーすると、コピー先のオブジェクトは1つのオブジェクトとして作成され、重くなくなるという裏技?があるようです。なので、このブラシを適用したオブジェクトは、なるべく、ブラシ適用後に別オブジェクトとして変換してから保存するようにしましょう。
3.ブラシ適用後のオブジェクトが消えてしまうことに注意
1つのパスに散布ブラシを適用すると、そのパスに沿って別のオブジェクトが配置されてしまうため、元のパスはなくなってしまいます。作業ヒストリーに残されている間であれば大丈夫ですが、一度ファイルを戻してしまうと、散布ブラシを適用したパスを復元するのは不可能です。
そのため、何種類かのブラシを適用して比較してみるど、散布ブラシ適用後もオリジナルのパスを使いまわしたい時は、オリジナルのパスを必ずコピー保存しておくようにしましょう。コピーしたパスに散布ブラシを適用し、確定したら、注意1の理由からそのオブジェクトをコピーして配置する、というのが一番ベストな作業方法です。
おわりに
自由なサイズで自由なクレヨン具合で散布ブラシが作成できるメリットはあっても、注意書きの理由がなかなかネックなのがこの散布ブラシの悪いところ。デザインの中にちょっとだけクレヨン風のデザインを入れるだけなら問題ありませんが、この散布ブラシを多用するようなデザイン(クレヨン風のテイストをベースにしたデザインやイラスト作成)をする場合にはオススメできない方法です。
クレヨンイラストを書くのであれば、SAIやCLIPSTUDIOで書いたイラストを、ベクター出力してからAiに取り込む方が賢いやり方な気もします。
ちょっとだけ使う時に、利用してみましょう♪